Pixial Flashレポート
Instagramから見えたパラリンピック

〜メディアとしての側面と注目選手のフォロワー拡大〜

2021年9月5日、パラリンピックが無事閉幕しました。日本勢も含めた各国パラアスリートの活躍や、大半の人が初めて目にしたパラスポーツの魅力そのものも有り、オリンピック開幕前とは違い、取り巻く雰囲気は温かく、惜しまれながらの閉幕であったように思います。「Pixial Flashレポート」では、世界的SNSであるInstagramから、オリンピックに引き続きパラリンピックに関する投稿を分析してきましたが、今回はその総括として、「#paralympics」で8月25日から9月5日までに投稿された計95,100件の投稿を当社のPixial®(ピクシャル)で分析し、あらためて今大会を通じたInstagramのメディアとしての側面と、期間中の投稿などについてまとめてみたいと思います。

※本記事中の数値、URLリンクはいずれも調査時点のものです(調査後に各投稿の数値の増減や、投稿が削除される可能性があります)。また日付はいずれも日本標準時(JST)が基準となっております。

【全体投稿】

期間中の投稿数は8月30日がピークでした。この日は義足最速王を決める注目の男子100mT64決勝の他、競泳や陸上など多くの競技でメダルマッチが行われた事に加え、インド人選手のメダル獲得の影響により、大きく投稿数が伸びたようです。

#paralympicsの投稿数推移

#paralympicsの投稿数推移

【メディア(情報発信)】

Instagramは画像を中心とした体験共有型SNSというだけでなく、月間アクティブユーザーが全世界で10億人とも言われ、今や情報を伝達する「メディア」としての側面を持っています。そこでパラリンピック主催者側およびInstagram上で目立っていた主要メディアを取り上げます。

1. 大会主催者側アカウント

大会主催者側に位置するアカウント一覧と主な発信内容は以下の通りです。

大会主催者組織公式アカウント

発信団体 言語 フォロワー数 主な発信内容
国際オリンピック委員会(IOC)
アカウント:olympics
英語 532.7万人 オリンピックに続き、パラリンピック関連も継続して発信。選手のストーリー紹介のほか、メダリストをトレーディングカード風にアレンジするなど多彩な投稿。
国際パラリンピック委員会(IPC)
アカウント:paralympics
英語 44.1万人 動画も活用し、大会中の様々な競技シーンを投稿。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
アカウント:tokyo2020
英語/日本語 111.2万人 選手のストーリー、メダリスト紹介、雑誌風の投稿など毎日様々な種類で発信。
日本オリンピック委員会(JOC)
アカウント:team_nippon
日本語 19.3万人 パラリンピック関連はオリンピックメダリストからの応援メッセージ動画1投稿のみ。
日本パラリンピック委員会(JPC)
アカウント:paralympic_japan
日本語 5,053人 基本はメダル獲得+選手の誕生日を祝う投稿
日本財団パラリンピックサポートセンター
アカウント:parasapo
日本語 1.6万人 出場した全ての日本人選手の競技中写真をシェア

IOCとIPC、JOCとJPCはそれぞれ別組織ですが、IOCアカウントはIPCとともにパラリンピック競技の様子を世界へ発信し続けていました。

日本国内向けでは、メダル獲得の定型投稿が多いJPCに代わり、日本財団パラリンピックサポートセンターが、無観客かつTV中継も少ない点を憂慮し「出場する“全選手”の表情を一人残らず世の中に届ける」というチャレンジ投稿をInstagram上で展開していたことが印象的でした。

2. 各国ニュースメディア

続いて、各国のニュースメディアの投稿内容です。

各国ニュースメディアアカウント

発信団体 言語 フォロワー数 主な発信内容
BBC News
アカウント:bbcnews
英語 1,916万人 投稿数そのものは少ないですが、ニュースメディアらしい切り口で問題提起やパラアスリートの側面を取り上げていました。
Tagesschau
アカウント:tagesschau
ドイツ語 337.9万人 自国メダリスト中心ではありますが、通常ニュースに加え、パラリンピック関連ニュースも投稿。

調査過程で目立ったニュースメディアはイギリスの「BBCニュース」とドイツの「taugesschau(今日の出来事)」です。両メディアはInstagram上に多くのフォロワーがおり、パラリンピック関連でも大きな発信力を持っていました。内容もただの結果速報ではなく、ニュース記事としてキャプション(テキスト)もしっかりと記述しています。

一方、日本では、「ニュースメディアがInstagramを使って多くの人々に向けて発信する」といった活用法はまだ一般的ではないようで、パラリンピック関連で目立ったニュースアカウントはありませんでした。

なお、アメリカのニュースメディアの1つであるCNNも1,500万人以上のフォロワーを抱えるInstagramアカウントを持っていますが、調査期間中パラリンピックそのものを取り扱う投稿はありませんでした。

イギリスはパラリンピック発祥の地、ドイツはIPCの本部があるということも各国のパラリンピックに対する報道姿勢に関係しているかもしれません。

3. 特定国での影響力の大きなアカウント

主催者やニュースメディアではないものの、パラリンピックを伝える上で、Instagramで大きな影響力を持ったアカウントを紹介します。

影響力の大きなアカウント(団体)

発信団体 言語 フォロワー数 主な発信内容
Badmintalk.com
アカウント:badmintalk_com

バドミントンを中心にマレーシアのスポーツニュースを中心に伝えるプラットフォーム
英語 86.8万人 オリパラ期間中はバドミントン競技のみならずマレーシアの他競技メダリストに関しても投稿。
ロイヤル・チャレンジャーズ・バンガロール
アカウント:royalchallengersbangalore

インドのプロクリケットチーム
英語 703.1万人 オリパラ期間中、インドの各アスリートのメダル獲得を祝福し、連日投稿。
ムンバイ・インディアンス
アカウント:mumbaiindians

インドのプロクリケットチーム
英語 767.7万人

マレーシアとインドでは、それぞれの国民的なスポーツであるバドミントン、クリケットから、競技の垣根を跨いで各国のメダリストを祝福する投稿が相次ぎました。いずれのアカウントもフォロワー数が多く、パラスポーツを伝える上で両国の「国民的メディア」としても機能していました。

なお、これらのアカウントからの投稿には反響も多く、両国選手がメダルを獲得した日は「いいね数」や「コメント数」の上位をこれらのアカウント投稿が独占する傾向にありました。

また、上記団体の他には、多くのフォロワーを抱えるイタリアの現役サッカー選手、インドの元プロクリケット選手なども、同じ国のパラアスリートの活躍を称える内容を投稿しており、大きな反響がありました。

日本国内ではスポーツ競技を跨いだ投稿は見られませんでしたが、パラリンピックに関してはタレントの香取慎吾さんからの発信の影響力が最も大きく、ファンの方からの「リポスト」と呼ばれる再投稿も多くみられました。

【注目のパラアスリートアカウント】

調査期間中、最も目立ったパラアスリートアカウントを紹介します。

海外選手

ベアトリーチェ・ビオ選手(フォロワー数:120.3万人)
前回レポートでも取り上げたイタリアの車いすフェンシング代表ベアトリーチェ・ビオ選手がパラアスリートではダントツのフォロワー数を誇り、今大会で連覇を果たした後に、さらに25,000人ほどのフォロワーが増えました。金メダル獲得時の投稿は、いいね数、コメント数ともに今大会期間中ダントツのトップでした。

国内選手

鳥海連志選手:フォロワー数4.4万人
車いすバスケットボール日本代表の今大会銀メダル獲得に大きく貢献した鳥海連志選手。元々車いすバスケットボール界では若手の注目選手でしたが、今大会の大活躍で一躍全国区の人気となり、フォロワー数も急上昇。調査期間中だけでも2万人近く増加し、その投稿へは大会前の10倍近い「いいね」が集まるようになりました。大会後の集合写真投稿に寄せられたコメント数は、日本人パラアスリートでは今大会最多となりました。

【まとめ】

Instagramは個人の写真共有SNSから始まりましたが、国際的イベントでの調査を通じて、その活用法も各国様々であることがわかりました。インドやマレーシアのように特定のスポーツのコミュニティでも、フォロワー数が多ければ多様な情報発信プラットフォームにもなり得るというのも興味深い発見です。

また、今大会を通じてパラスポーツやアスリートに興味を持った方は、是非アカウントをフォローしてみてください。視覚障害を持つアスリートでもパートナーの方と協力してアカウントを開設している方もいます。最後に、Instagramアカウントを持つ国内パラスポーツ団体(トライアスロンは共通)を紹介して、今大会の記事の締めくくりといたします。

【国内パラスポーツ団体アカウント一覧】
団体名 アカウント
日本視覚障害者柔道連盟 blindjudojapan
日本ブラインドサッカー協会 b.soccer_official
日本ゴールボール協会 goalballjpn
車いすラグビー日本代表 japan_wr
日本障がい者バドミントン連盟 jpbf_official
日本車いすバスケットボール連盟 jwbf__official
日本車いすテニス協会 jwta_official
パラ卓球(日本肢体不自由者卓球)協会 para_ping_pong
日本パラ・パワーリフティング連盟 para_powerlifting
日本トライアスロン連合 triathlon_japan

■Instagram投稿分析ツールPixial(ピクシャル)について

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Instagram上の公開データの中から、指定したキーワード(以下、ハッシュタグ)に関するデータを利用者自ら分析できるサービスです。

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