Pixial Flashレポート
オリンピック後のアスリートへのInstagramコメント数TOP10

〜競技期間外のアスリート達とファンとのコミュニケーション〜

2021年8月8日に東京オリンピックが閉会し、8月24日にはパラリンピックが開幕しました。オリンピックやパラリンピックでは数多くの競技が同時並行で行われる一方で、報道はどうしても自国選手に偏ってしまいます。そこで世界的なSNSであるInstagram上から、オリンピック、パラリンピックに関してどのような投稿があったのかを分析し、別の視点からこの国際イベントにあらためて迫ってみたいと思います。

今回は「#tokyo2020」とつけられた投稿のうち、全競技日程終了日からの1週間(8月9日〜8月15日)に公開投稿された75,408投稿を当社のSNS分析サービスPixial®(ピクシャル)を使って分析し、出場アスリートからの投稿に寄せられた「コメント数」トップ10を取り上げ、「競技期間外のファンとの交流」という観点でみてみたいと思います。
なお、集計に際しては、アスリートと直接関係のないアカウントからの投稿は除外しています。

以下、順位(コメント数)とその投稿内容を紹介します。

※本記事の数値はいずれも調査時点のものです(調査後も各投稿に関連する数値は増減する可能性があります)。また日付はいずれも日本標準時(JST)が基準となっております。

第10位(1,993)

ペドロ・ゴンサレス選手(スペイン:サッカー 男子)
発信日:8月9日
アカウント名:pedrigonzalez

オリンピック男子サッカー準決勝で延長戦の末に日本を破り、決勝ではブラジルに敗れたものの銀メダルを獲得した24歳以下スペイン代表のペドロ・ゴンサレス選手。決勝戦後にスタジアムで撮影されたチームスタッフを含めた集合写真とともに感謝の言葉を綴った投稿に2,000件弱のコメントが寄せられ第10位となりました。わずか18歳ながらにして、所属チームであるスペインの名門FCバルセロナでレギュラーを獲得するとともに、年齢制限のないスペインのフル代表でも活躍する今注目の若手人気選手のため、数多くのファンからのコメントが集まったと推測されます。

第9位(2,046)

発信者:ベアトリーチェ・ヴィオ選手(イタリア:車いすフェンシング 女子カテゴリーB)
発信日:8月11日
アカウント名:bebe_vio

東京パラリンピック車いすフェンシング女子に出場する、ベアトリーチェ・ヴィオ選手が、たくさんのスーツケース前にポーズを撮った写真や、出発前に食べたカルボナーラの写真とともに「準備万端でこれから東京に向かいます」というメッセージを添えた投稿が第9位です。同選手は前回リオ大会の金メダリストであり、フォロワー数100万人以上を持つパラリンピック界トップクラスのインフルエンサーでもあります。パラリンピック開催前の投稿でしたが、多くのファンからの応援メッセージが届くのも頷けます。

第8位(2,142)

発信者:ブイ シンデュ・プサルラ選手(インド:バドミントン 女子)
発信日:8月9日
アカウント名:pvsindhy1

バドミントン女子シングルスで今大会銅メダルを獲得したブイ シンデュ・プサルラ選手。閉会式を見た翌日に思い出したという、五輪マーク前で撮った写真や銅メダル獲得後の写真とともに「素晴らしい人々との忘れられない経験だった」というコメントを添えた投稿が第8位です。同選手は前回リオ大会の銀メダルを機に一気にインドにおけるスター選手となり、今やフォロワー数も260万人以上です。ファンからのコメントが多いことも納得です。

第7位(2,276)

発信者:ダニエウ・ド ナッシメント選手(ブラジル:陸上 男子マラソン)
発信日:8月9日
アカウント名:danielnascimentoatleta

今大会出場106選手中30名が途中棄権となる過酷なレースであった陸上男子マラソンに出場したダニエウ・ド ナッシメント選手。一時先頭を引っ張ったものの25キロ過ぎで倒れ込み、最終的には途中棄権となりました。競技翌日に、優勝したケニアのキプチョゲ選手と競技中に交わしたグータッチの画像とともに、ファンへの感謝の言葉と、再び勇気を出して前に進む決意を示した投稿が第7位です。倒れ込んでの途中棄権ということで心配されましたが、無事元気であることを示す投稿によって、ファンもほっとしたことでしょう。

第6位(2,298)

ヘベカ・アンドラージ選手(ブラジル:体操 女子)
発信日:8月9日
アカウント名:rebecarandrade

女子個人総合で銀メダル、女子種目別跳馬で見事金メダルを獲得したヘベカ・アンドラージ選手。金銀両メダルの画像とともに「まだ東京にいるよ」というシンプルなメッセージ投稿が第6位です。同選手も、前述のプサルラ選手同様にフォロワーを250万人以上抱える人気選手ですが、2019年6月には3度目の大怪我をしており、復帰へのプロセスとゴールとしての金メダルが、ファンの心をより掴んだのかもしれません。

第5位(3,360)

発信者:スカイ・ブラウン選手(イギリス:スケートボード 女子パーク)
発信日:8月9日
アカウント名:skybrown

若い世代の活躍と競技者同士のリスペクトが眩しかった今大会のスケートボード。CMなどにも起用されて注目されていた13歳のスカイ・ブラウン選手が、ユニオンジャックを身にまとい、銅メダルとともに家族や友人、イギリスチーム、日本への感謝を綴った投稿が第5位です。前述のアンドラージ選手同様、スカイ・ブラウン選手も2020年5月に頭蓋骨骨折を含む大怪我から復帰してのメダル獲得となり、多くのファンの心を掴みました。

第4位(3,515)

発信者:アディティ・アショク(インド:ゴルフ 女子)
発信日:8月9日
アカウント名:aditigolf

今大会惜しくも1打届かず女子ゴルフ4位となったアディティ・アショク選手。通常優勝のみを争うゴルフ競技において「4位になってこれまでで一番がっかりした」という心境とともに、これから前向きに頑張るメッセージや母国からのサポート、日本のボランティアやコーススタッフへの感謝とともに東京を離れるメッセージ投稿がこちらも第4位となりました。しかし、2020年度の世界ランクは172位ながらも、最後までメダル争いを繰り広げた同選手には「むしろ誇りに思う」「素晴らしい成果だ」といったコメントも多く寄せられ、今大会の活躍を通じて、また多くのファンを獲得したと思われます。

第3位(3,320)

発信者:アントニー選手(ブラジル:サッカー 男子)
発信日:8月12日
アカウント名:antony00

サッカー男子で今大会見事金メダルを獲得したブラジル代表のアントニー選手は、なんと獲得した金メダルと同じ柄のタトゥーを利き足である左の太腿に入れ、金メダルと並べてみせた画像の投稿が第3位です。獲得したメダルをタトゥーにしてずっと身につけるまさかの発想に、ファンも驚いたのかもしれません。

第2位(5,183)

発信者:ガブリエラ・ブラガ ギマランエス選手(ブラジル:バレーボール女子)
発信日:8月9日
アカウント名:gabiguimaraes

バレーボール女子で銀メダルを獲得したブラジル代表のガブリエラ・ブラガ ギマランエス選手。チームの集合写真とともに次回パリ大会への決意を示した投稿には、なんと5,000を超えるコメントが寄せられ、第2位となりました。ブラジルでバレーボールはサッカーに次ぐ人気の国民的スポーツであり、女子チームは北京、ロンドン大会と2連覇していました。しかし、地元開催で3連覇を目指した前回リオ大会ではメダルを逃しており、その分、今大会のメダル獲得への意気込みは選手のみならず、ファンも相当強かったと思われ、代表の中心でもある同選手へ数多くのコメントが寄せられたのでしょう。

第1位(7,875)

発信者:マリア ベレン・トイミル選手(スペイン:陸上 女子砲丸投げ)
発信日:8月12日
アカウント名:belentoimil

コメント数第1位は陸上女子砲丸投げのスペイン代表マリア ベレン・トイミル選手。同選手は残念ながら予選グループAで13位となり決勝には進めませんでしたが、購入したオリンピックグッズの写真とともに「抽選でプレゼントをする」と投稿したところ、なんと8,000件弱の応募がコメントで寄せられました。なお、抽選結果はインスタライブを使って発表したそうです。

オリンピック終了後 コメント数TOP10アスリート

順位 選手名 国名 競技 成績 フォロワー数
第1位 マリア ベレン・トイミル スペイン 陸上 予選敗退 7,300人
第2位 ガブリエラ・ブラガ ギマランエス ブラジル バレーボール 77.1万人
第3位 アントニー ブラジル サッカー 114.3万人
第4位 アディティ・アショク インド ゴルフ 4位 8.6万人
第5位 スカイ・ブラウン イギリス スケートボード 135.8万人
第6位 ヘベカ・アンドラージ ブラジル 体操 金銀 251.7万人
第7位 ダニエウ・ド ナッシメント ブラジル 陸上 途中棄権 4万人
第8位 ブイ シンデュ・プサルラ インド バドミントン 263.8万人
第9位 ベアトリーチェ・ヴィオ イタリア 車いすフェンシング - 109.8万人
第10位 ペドロ・ゴンサレス スペイン サッカー 302.1万人

いかがだったでしょうか。第1位は意外な結果となりましたが、プレゼントでSNSフォロー数を増やすキャンペーンは企業プロモーションではよくみかける取り組みの1つです。なお、同様の取り組みはパラグアイの陸上女子100mハードルに出場したアナ カミラ・ピレッリ クバス選手も行っており(コメント数は1,803件で第11位)、プロ契約の少ない競技の選手たちは、今の時代SNSなどを活用し、自分自身を積極的にプロモーションしているのかもしれません。また今回無観客開催であったこともあり、売れ残ったオリンピックグッズは、アスリート達を通じて海外へプロモーションして販売するのも一つの手段かもしれません。

インスタグラムにおける「コメント」は「いいね」に比べると、具体的な記述をする分投稿にハードルがあり、関係性(エンゲージメント)の高さを示すとも言えるため、今回「アスリートとファンとのつながり」を測る指標として用いました。また、コメント数の多い国別でみると、いわゆる「ラテン系」と呼ばれる国々が多く、国民的な気質とも何か関係があるのかもしれません。

なお、日本人のアスリート投稿へのコメント数最上位は、野球で金メダルを獲得した東京ヤクルトスワローズ所属の山田哲人選手が、読売ジャイアンツ所属の坂本勇人選手、そして今大会アメリカ代表として出場し銀メダルを獲得した同じ東京ヤクルトスワローズ所属のマクガフ選手と並んだ写真の投稿でした。次点は競泳の池江璃花子選手が日本競泳チームの集合写真とともに感謝の言葉とパラリンピックへの応援依頼を綴った投稿で、それぞれ1,400件近いコメントが寄せられました。

番外編(2,189)

発信者:オリンピック公式アカウント
発信日:8月10日
アカウント名:olympics

陸上トラックのハードルをボランティアスタッフが片付ける様子を空からトラックの五輪マークとともに捉えた写真とともに「大会の成功はボランティアスタッフのおかげ」として活動を称える投稿が英語で発信され、2,189件ものコメントとともに世界中から数多くの拍手マークが寄せられました。今回のオリンピックの立役者はアスリートとともにその活動を支えたボランティアスタッフです。世界から寄せられたこれらの感謝のコメントも、ボランティアスタッフの皆様へ届いていることを願っています。

次回はパラリンピック中の投稿分析をレポート予定です。

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